藤波の 花は盛りに
本堂前の藤の花が咲きだしました。
ちょうど今月の書道のお手本も、藤の花をうたった紀貫之の歌です。
緑なる 松にかかれる 藤なれど
おのがころとぞ 花は咲きける
筆をとって書くにつれ、何か作為的な感じがして、あまり好きではないなと思いました。
それで調べてみると、正岡子規が『歌よみに与ふる書』において、万葉集を賞揚する一方で、「貫之は下手な歌よみにて、古今集はくだらぬ集にてこれあり候」と酷評していることを知りました。
和歌も俳句も日本文学史についても無知な私ですが、「子規さん、ちょっと言い過ぎじゃない」とは思うものの、やっぱり素直でおおらかな万葉集の方が好きです。
そこで万葉集で藤の花をうたった歌を探してみると、
大伴四綱が、防人司(さきもりのつかさ)として大宰府に赴任中、奈良の都を思い懐かしんで、長官であった大伴旅人に問いかけるようにして贈った歌がありました。
藤波の 花は盛りになりにけり
奈良の都を 思ほすや君
さて皆さんは、どちらの歌の方が好きですか?
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