「延命十句観音経」の勧め

 
 母が8月16日の昼過ぎ、近くの老人ホームで他界しました。享年95歳でした。

 亡くなった日の朝、ホームに面会に行って声をかけてみましたが、あまりすやすやと眠っているので、そのまま起こさずに帰りました。息を引き取った後の顔も朝と変わらず安らかな良い顔でした。

 面会に行く時は、母が大好きでしかも喉に通りやすいフルーツゼリーを定番に持参しました。
1ヶ月ぐらい前まではそれを完食していましたが、やがて半分になり、3割になりと次第に食欲がなくなってきて、1日前はスプーンに2,3杯も食べると、うとうとと眠ってしまいました。
16日朝は、「お母さん、フルーツゼリー食べる?」と声をかけても目をしばしばさせるぐらいで眠ったままなので、
ぼちぼちかなと感じていましたが……。

 私にとって母の最期の数週間の看取りは、とても貴重な経験でした。
読経、特に「延命十句観音経」の功徳を、母が実証し教えてくれたと実感しているからです。

 「延命十句観音経をとなえると、長生きできるよ」と、たまに母と唱和したりしました。
亡くなる数日前からは、小声で唱えながら母の手や胸をさすりました。
いかにも心地良さそうにすやすやと眠っていましたから、読経する心の波動は伝わっていたのだと確信しています。

母が他界しても、不思議なくらい悲しみはありません。
ただ、父が46歳で急死してから、女でひとつで私と妹を上の学校までやってくれた苦労を想うと、感謝の気持ちで一杯になり泣けてきました。
老衰による眠るがごとき大往生だし、
禅修行のお陰で、日頃から生死を超えた大道に生かされているという実感があるからかも知れません。 

 読経の功徳は肉親の看取りということだけではなく、
自分自身の雑念をはらい、心を安らかにし、肯定的で前向きな命の波動に導いてくれます。

まずは、簡単でしかも大いに功徳があると白隠禅師も勧めている「延命十句観音経」を日々唱えることをお勧めします。

2019年9月21日